「何で今!?」と、最初聞いたときには仰天した
ANVILのドミュメンタリー映画「
ANVIL ! THE STORY OF ANVIL」
観てきました。
「ANVILの映画が公開されるんだよ」と聞いた当初、「何で、今、ANVIL?」
と思わず声をあげてしまったのでございますよ。
ナツカシすぎでしょう、と。
テレビでCMまで打ってる、新譜もソニーから出てる、まさかのANVIL時代到来?
と半信半疑ながら(?)映画館に向かいました。
正直、「全然売れなかった」という印象はないんだよねぇ。
少なくとも当時は、大ブレイクとはいかないまでも人気バンドのひとつだったと思うし
スーパーロック参戦組としては、ライヴも盛り上ったと記憶しているし
私でさえアルバムは2枚か3枚か持ってたし(レコード時代ですがw)
一時期売れたけどその後鳴かず飛ばずだった、という印象かな。
それにしても、映画冒頭のリップスの”仕事”風景を観て、絶句・・・でした。
多分、世の中に”ANVIL予備軍”的なバンドは、それこそ山のように居て
無茶を承知で言えば、自分だって10代のころはそのひとりであったわけで
(ただし、私はプレイヤーとしての将来はないと物凄く明確に自覚した瞬間があり
リスナー馬鹿一代の道をヨロヨロと歩き続けて今日に至るわけだがw)
ただ、こうして35年という長い時間「続けている」バンドは、そうそうない
・・・特に、「売れないバンド」としては、まさに稀有の存在・・・なんだろうな。
実際、35年選手は、いるわけですよ。
ストーンズやTHE WHOの名前は映画の中にも出てきたけれど、KISSがそうだよ。
ANVILとKISSの違いは、どこなのか。
どこで、この二つのバンドは大きく道が違ったのか。
そんなことを、映画館からの帰り道、考えておりました。
両バンドとも、当初のイメージは「キワモノ」「イロモノ」だったでしょう。
共通点は、英語ネイティヴ、ジューイッシュ家庭の出身、世代もそうだ。
そして、キワモノなステージングやヴィジュアルとは裏腹に、いい曲書くね!ってこと。
ただ、物凄く大きな違いがあったのは、間違いない。
そのひとつは、強力でプロフェショナルなマネジメントの有無
ふたつめは、片やカナダ・トロント出身、片やアメリカ・ニューヨーク出身てこと
みっつめは、同じ「キワモノ」でも、そのルックス(文字通り”見た目”の良し悪し)
特に、ひとつめの相違は、やっぱり「売れる」「世に出る」「成功する」ためには
絶対的に必要不可欠なポイントだもんねぇ・・・。
映画の前半で描かれる「欧州ツアー」の惨状といったらない。
一生懸命だろうが誠実だろうが、無能なマネジメントはバンドにお金はもたらさない。
お金がなければアルバムの製作はできない。
生活するために、家族のために、望む仕事でなくても稼がにゃならんよね。
これがKISSなら・・・多分、ジーンとポールは、無能なマネージャーを切って
「より稼げる」「より成功へ近づく」マネジメントを求めていくはず。
でも、リップスは「一生懸命やってくれたよ」とか言っちゃうんだ、これが。
5週間もツアーして、ガラガラの会場で演奏させられたあげく、ギャラ無し(!)でも。
これは、良し悪しではなく、違い。
こういう積み重ねが、ひょっとしたら、現在の大きな違いになってきたのかな
てなことを考えてました。
しかし、リップスとロブ・ライナーは、「成功したい。ロックスターになりたい。」と
大真面目に宣言し、日々の生活を(きちんと)送りながら、メタル馬鹿一代の道を
邁進していくわけです。
これを「いいぞ、かっこいいぞ、いけるところまでいけ!」というのは簡単だ。
でも、周囲の人間(家族たち)にしても、もしかしたら本人たちにもしても
怯むことも立ち止まることもあるだろう、ってことだ。現実なんだもん。
そこが、10代の夢見ることを自他共に「許される」若造と、リップスいわく「顔に
しわができて髪がうすくなって腹も出てくる」50代の違いだ。
この映画を観た人が(例えメタル嫌いの人でも、ANVILを全然知らない人でも)
心揺さぶられるのは、その50代の”おっさん”たちがただのおっさんではなく
正真正銘の音楽馬鹿・メタル馬鹿で、そこらの訳知り顔の若者より、ずっとずっと
熱く滾る情熱を持ち続けてる、その姿にこそ、なんじゃなかろうか。
この映画を観て、「痛い」と感じる人も、嗤う(笑う、ではなく)人もいるだろうし
それはそれで、ある意味当然かもしれない。
でも、それと同じくらい「リップスやロブが他人とは思えない」という人もいる。
きっと。
この映画がきっかけで、レコード会社やプロモーターから声がかかり
ANVILは忙しくなっている様子。佳き事かな。
これがバブルだとしても、彼らの望む「成功」の第一歩だとしても
ANVILがANVILとして活動できること、それがなによりでしょう。
メタル馬鹿万歳だ。
私は、心の底から、そう思います。
コメントありがとうございます(・∀・)